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ヘアサロン漂流紀

ヘアサロンを選ぶ基準はそれぞれに違う。
例えば友人が美容師であるとか、近所に有名なお店があるとか、カラーがたくさんあって選択の幅があるとか…私の場合、弟1条件はカットが上手なことである。
理由は簡単。髪の毛の量が多く、生え方に特徴があるからだ。
重力に反して上に向かって生えているのである。
ワンレングスが流行った○十年前頃(いったい何年前の話だ…)はまだ良かった。
ロングに伸ばしているお陰で、髪の重みで何とか下がっていてくれたからだ。
ところが数年前にショートカットにして以来、乾くのが断然に早いと言う事とファッションを選ばなくとも結構さまになる事。そしてなにより、ものぐさな私にはピッタリのブローいらずが気に入って、切るたびにどんどん短くなっていった。
気付けば、美容師さんに「これ以上短く出来ませんよ」と言われる位までに短くないと済まなくなってしまった。
いや、普通に下向きに生えている髪ならもっとショートが可能なはずだ。
私の場合、生え際の髪があまり短いと上に立ってしまうため、カットにはそれなりの高度な技術を要し、大抵の美容師さんは「もうこれ以上…」と言わざるを得なくなる。
それでも以前は信頼する美容師さんが居たから良かった。
腕の良さで有名な彼には全幅の信頼を置き、毎度全てをお任せしていたのだが、お店の経営が上手くいき、今では店舗を次々とオープンさせ……経営に手がいっぱいで髪など切っていられなくなってしまったのだ。
以来、数々のヘアサロンを渡り歩いているが、信頼できる美容師さんとは出逢えない。
何と言っても前回切ってもらったサロンは最悪だった。
有名人も名を連ねる程の某サロンは、東京が本店で全国に店舗を持っている。
私はそこのサロンディレクターと呼ばれる、お店では最高の腕の持ち主に頼んだはずであった。
ところが、私の悩みを聞いた彼女は即座にこう言った。
「生え際にバリカンあてちゃえばいいんですよ。立ち上がるところを無くしちゃう訳だから、薄くなりますよ~」
要するに、髪の立ち上がる部分をぜ~んぶ刈ってしまえー!!という訳。
「バ、バリカン?!」ヘアサロンで言われた事もない言葉に、私は激しく同様した。
美容師さんと言えば、今やどこでも「ヘアーアーティスト」と名を変えて呼ばれる位ハサミの技はまるで芸術家!で、私の多い髪でさえこの15年位、カミソリですいて薄くするお店など1つも無かった。
なのにこの時代にヘアサロンでバリカンー?!
速攻でバリカンはお断りしたが、結局最後までハサミではなくカミソリでバサバサと髪を削ぎ、当然の事ながらすっかりタイトな髪にはなった。
カミソリのザザザという音を聞きながら、ハサミで魔術師のように髪を薄く削ぎ、カットしていく彼の姿を懐かしく思った。
東京の○○が本店の、サロンディレクターという肩書きにまんまと騙された私である。
カットしてから数日後、久しぶりに会った母は開口一番こう言った。
「なに…自分で髪切ったの?」そりゃそうだ。
なにせバリカンを使う店だもの…気付けば左右の髪の長さが1.5センチも長さが違っていた。
私のヘアサロン漂流生活は、これからまだまだ続きそうである。

[2006-04-03 09:27]

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