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おふくろの味

誰にでも懐かしい“おふくろの味”というのがあるものだ。
私にとってのおふくろの味は“たまごおかゆ”。
母が聞いたら「なにそれーっ、あんなに色んな物を食べさせたのに、
どうしてたまごおかゆなの?」と目を三角にしそうだ。
母の面子に係るのであえて言っておくが、私の母は料理上手である。
長く専業主婦だったのだが、私が中学生になった頃に友人の中華料理店を
手伝うようになり、食卓には手作りの餃子やチャーハン・中華飯・ラーメン
等の庶民的なものから、酢豚・海老チリ・八宝菜などの一品料理まで
本格的な中華料理が並んだ。
その後、バスで40分もかかるフランス料理店に通って学び、中華料理に
替わってステーキソースからサラダに至るまで、一般家庭ではなかなか味わう事
の出来ない料理が並ぶようになった。
手際がよく、もともと料理上手だった母は自信をつけて“向かうところ敵なし!”
となり、ひと頃には頼まれて料理教室も開く程…。
結婚して離れて暮らす今はなかなか自慢の料理を口にする機会はないが、
その気になれば今でも腕をふるう事だろう。
プロ並の腕を持つ母だから美味しいものといったら数限りなくあるのだが、“おふくろの味”
はやはりこれなのだ。

留守がちな父に代わって父親代わりもしていた母は、いつも厳しく、小さい頃から
“自分達で出来る事は自分達で”というのを徹底していた。
滅多に手を貸してくれる事は無く、幼いころから何でもさせられた記憶がある。
よく「友達のような親子関係」というのを聞くが、我が家には絶対当てはまらなかった。
本当に厳しく強い母だった。
そんな母も、私達が病気で具合の悪い時は優しく、いつもたまごおかゆを作ってくれた。
白がゆに卵を溶き、ほんのり塩味のシンプルなものだったが、本当に美味しかった。
私にとっては、たまごおかゆ=優しい母だったのかも知れない。

昨年、久しぶりに帰省した際、実家に子供達を残して私だけ出掛けた事があった。
その時に母が子供達にたまごおかゆを作ってくれたらしい。
こちらに戻ってしばらくした頃、「昼食に何が食べたい?」と子供達に聞いたところ、
「ちゃま(私の母)が作ってくれた、たまごおかゆが食べたい」と口を揃えていう。
今度は私が子供達の為に作ったたまごおかゆ。
これまた大好評で、何日も続けて作る事となり、以降、小腹がすいた時や体調の悪い時の
リクエスト№1となっている。
娘もまたいつか、自分の子供に作る日がくるのだろうか?!

今日は我が母の誕生日。
先日、突然倒れて救急車で運ばれ本当に心配した。
お陰さまで今は退院し自宅療養しているが、いつまでも厳しく強く、尊敬すべき母で
あって欲しいと心から思う。
“もうおめでとうじゃないわよ~”と言っていたが、
あらためて「誕生日おめでとう」。

[2008-03-10 12:39]

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