着飾ってみても
卒園(卒業)と言えば、その後はお決まりの歓送迎会である。
我が息子と娘の通園した幼稚園では、例年クラス毎にこじんまりと…というのが
原則だった。
あるクラスはイタリアンレストランで、あるクラスは小料理屋で、またある
クラスでは無礼講の居酒屋で!!
かしこまる事なくしてきたのだが…。
今年はイベント好きの役員衆の思いつきで、学年オープンで歓送迎会をする事
となった。
付属幼稚園はじまって以来の事だそうだ。
場所も市内でランクダントツ1位の某ホテル。
しかも立食パーティーという。
わが夫などは「下手な場所でするよりずっと良いだろ?」と言った。
そりゃ、背広を着ていくだけの男性陣にとっては、着ていく服装を考える必要も
なくかえって楽かも知れないが、女性はホテルのパーティーに普段着で行けるはずもなく、
この企画が決まってから、幼稚園でも保護者が顔を合わせるたびに
「何を着ていく???」の会話になった。
当日、時間ぎりぎりに会場に付いた私は、当然の光景に頭がクラクラした。
普段見慣れるここ一番の洋服で飾った馴染みの顔ぶれ…。
バブル期に建てられたこのホテルは、どこもかしこも上質仕様なのが売りもので、
ひときわ派手で煌びやかなシャンデリアの会場は、シャンパン、ワイン赤白、ビール、
日本酒から、ソフトドリンクまで何でもあり、1人1人の好みに合わせてバーテンが
カクテルを作っている。
会場の両脇にはホテル内で有名な中華料理店の看板メニューがずらり。
その華やかな中で緊張気味の若干23歳の娘の担任の先生の顔が見えた。
シャンパンでの乾杯の後歓談が始まったが、いくら着飾っても女性はやはり色気より
食い気である。
気づくと料理の並んだテーブルが見えない程人が集まっており、30分もすると
立食パーティーの筈が皆椅子を持って着席し、しっかり食べる事に集中している。
話に夢中になった私はほとんど料理には手を付けなかったが、10種類以上の
スイーツだけは見逃さない。
当然の事ながらホテルメイドなのでどれも凝ったスイーツで、甘いもの好きの友人と
コーヒー片手に少しずつほとんどの種類を頂いた!
“最後位は無礼講で!”を望んでホテルでの謝恩会に否定的だった私も、たくさんの
スイーツです~っかりご機嫌になった事は言うまでもない。
さて、どんなに着飾っても人間の本質とはそうは変わらない。
酒癖の悪いのは上品な服装をしていても悪いのである。
この日、いつもとは別人のAさんは、言葉遣いも上品にお洒落にカクテル
等を口にしていた。
時間の経過とともにテンションが上がり、まず声が大きくなってきた。
各クラスの出し物が始まると、すかさず“よっ!”などとあいの手を入れる。
そのうち、アルコールをぐい飲みすると、担任の先生の隣の席を無理やり陣取ると
先生の手をとって泣き始めた…。
こうなると性質が悪い。
慰める先生に抱きつきオイオイと泣く。
引き離しても引き離しても抱きつき、最後には数人がかりで引きはがされた。
また抱きつこうとするところを、「先生がいつまでも帰れないよ」と私から諭され…
泣きながら「そういう気の利いた事をいうあなたが好き!」と今度は私にしがみついた!
この騒ぎで、感動の涙で見送られるはずの担任の先生は、追い立てられるように帰るはめに
なってしまった。
本人が覚えているかいないかはわからないが、いい加減分別のつく大人の飲み会。
マナーは大切とまたもや勉強させられた歓送迎会となった。
[2008-04-06 13:30]