« 遺伝子異常 | メイン | 信頼が怒りに変わる時 »

伝統と格式

初めに書いておくが、私は実際のところ相撲ファンでは無い。
朝青龍びいきでも無い。
むしろ、朝青龍の素行不良が取り上げられる度に、「横綱なのにお粗末」と冷ややかに見ていた方である。でも、今回の引退はとても残念に思う。

過去に何度となくトラブルを起こしてきた朝青龍。
その度に相撲協会は厳重注意だけで、大した処罰も与えずここまで来た。
朝青龍にしてみれば、何度ルール違反をしても見過ごされ、イエローカードを一枚ももらわないうちに
突然のレッドカードで一発退場という心境だろう。
確かに日本の伝統や格式を思うと、朝青龍という横綱はふさわしくなかったかも知れない。
しかし、今の日本でさえ、自国の国技である相撲を理解出来ている人間は少ないというのに、モンゴルで生まれ育った人間に、そう簡単に国技としての相撲の伝統や格式を理解できるだろうか?
そこまでこだわるのであれば、相撲協会や親方が伝統や格式についてもっと早く指導してくるべきだった。
ゲームに勝つ事だけを、強くなる事だけを教え、ルールやマナーを教わらなかったアスリート…それは果たして本人が悪いのか?
(よくよく見れば、私の言いたい事は、野村監督夫人のサッチーが代弁してくれていた)

様々な意見やコメントが飛び交う中で、元横綱の曙のコメントがとても印象的だった。
「外国人なら勝負に勝てば“やった!”と拳が上がるのは自然な事、それはやってはいけないのだと、自分はしつこい位に言われ、最初の試合で小さく拳を上げて喜んだ時に師匠にこっぴどく怒られた。
朝青龍は横綱でもひときわ体が小さく、決して体格も恵まれている方ではない。
小さい体で若い力士達に勝ち続けて来るのはそう簡単な事ではなく、気力でここまで勝ってきたのだと思う。」と。
また別のコメンテーターはこうも。
「土俵に押し出してからさらに後ろから押した、問題の取り組みにしてもただ“やるな”と言うのだけではなく、相撲で土俵の外に押し出すのは、(言葉は悪いが)もう殺してしまったのと同じ事。

土俵の外に出て死んでしまった人間にダメ押しするのはそれだけ卑怯な事か!と教えた人間が回りにいたのか?」

ここ数年、力士になる事を希望する若者が極端に減っているという。
若貴以来、日本人の横綱は久しく見ていない。
相撲界に合わない人間を切り捨てていく前に、日本の若者が、国技としての相撲に魅力を感じ、
横綱になる事を目指して力士になるような相撲界にしていく必要があると思う。
もう一人の横綱、白鳳は「相撲界に入った時から常に目標とする力士でした」
と朝青龍の為に涙を流した。
会見でカメラに向かって手を振り、笑顔を見せた朝青龍に横綱としての最後のプライドを感じた。

[2010-02-23 17:30]

コメント

コメントしてください




保存しますか?